米Microsoftと米Georgia Institute of Technologyの研究チームが開発した「PetTrack:Tracking Pet Location and Activity Indoors」は、複数のセンサーを組み合わせることで、ペットの居場所や行動を室内でリアルタイムに把握できるシステムだ。
無線センサーがペットの位置を特定し、加速度センサーが座っているか横たわっているか、あるいは動いているかなどの姿勢を測定でき、スマートフォンを介してペットが室内のどこで何をしているかを飼い主に伝えることができる。
これらのセンサー類は全て、首輪やハーネスに装着できる小型デバイスに搭載しているため、侵襲性が低くペットにとっても身に着けやすい仕様になっている。システムは、ペットの屋内位置とペットの行動を把握し、そのデータを飼い主のスマートフォンにリアルタイムに伝送することを目的とする。
システムは超広帯域（Ultra Wide Band、以下UWB）無線信号を活用して、ペットが家の中のどこにいるのかを最大100フィート（約12m）離れたところから探し出す。UWBアンカーは家の数カ所に設置する。
加速度センサーはペットの姿勢を推定する慣性センサーとして機能する。細かい姿勢推定はできないが、座る、立つ、歩く、寝るなどのポーズを分類し区別する。
UWBネットワークは、壁、家具、ドアなど、猫や犬が隠れることのできるあらゆるものを通してアクセスできるため、カメラやGPSとは異なり、飼い主はペットの居場所を常に把握することができる。UWBネットワークはプラグアンドプレイで既存のWi-Fiと干渉しないが、飼い主がスマートフォンで受け取るためには、家庭のWi-Fiネットワークに接続する必要がある。
リアルタイムの位置を把握できるだけでなく、全ての行動を記録できる。ペットの位置と姿勢を組み合わせることで、1日の活動マップが作れるわけだ。
カメラによる監視とは異なり、プライバシーもこのデバイスの大きな利点といえる。カメラだとハッキングされて室内をのぞかれるが、この手法だと物理的にのぞかれる心配はない。またカメラのように各部屋に設置する必要がなく、物陰に隠れた数カ所に小型デバイスを配置するだけで家全体を監視できるためより安心だ。
応用例として、留守中のペットの監視が考えられ、侵入禁止エリアに行こうとしたらブザーが鳴り警告する活用もできる。ペットの不審な行動を把握し、不健康を早期発見する。他にもトイレトレーニング中に失敗し別の場所で排尿した場合に、後から場所を特定し掃除する。室内ロボットとペットとのやりとりのために、得られた情報を活用することも考えられるだろう。
