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初代X68000ユーザーが「X68000 Z HACKER'S EDTION」を体験してみた

瑞起はシャープの伝説のパーソナルワークステーションを小型化して再現した「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」を、クラウドファンディング出資者に向けて2023年3月に第1ロット、同6月に第2ロットを発送する予定だ。
 残念ながら第2ロットも含めてクラウドファンディングは1月29日に終了しており、現時点で出資や、購入予約できない。ただし現時点で実施するかどうかは確定していないが、本プロジェクトのロードマップにはフェーズ2としてBLACK MODELが予告されている。今後購入可能となる可能性は残されているわけだ。
 筆者は初代X68000を発売日に購入し、渋谷のPCショップから宮崎台の自宅まで電車に乗って持ち帰ったことがある。ブラウン管のモニターと一緒だったので非常に重かったが、どうしても発売日に動かしたいと渇望した憧れのマシンだったのである。
さて筆者には「Linux向け組み込みアプリケーション開発の経験」はないので、それが要件であった「X68000 Z HACKER'S EDTION」のモニターに応募できなかったが、今回瑞起より実機を借用させていただいた。
 またHACKER'S EDITIONのテスターメンバーとは異なり、レビュー用にシステムディスクとゲームディスク2枚をセットでお借りしている。プログラミングやエミュレータの知識、X68000のソフトウェア資産を持っていない筆者には細かな検証はできないが、初代X68000ユーザーの視点から「X68000 Z」の魅力の一端でもお伝えできれば幸いだ。
SoCは他社製品の採用実績がある「ZUIKI Z7213 SoC」を搭載
 今回借用しているのは「X68000 Z HACKER'S EDTION」だが、スペック解説は「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」を前提に行なおう。
「X68000 Z」はソフトウェアに「β2版X68000エミュレータ」、SoCに他社製品の採用実績がある「ZUIKI Z7213 SoC」を採用。メモリは512MB(DDR3)、ストレージは512MB(NAND)を搭載している。
インターフェイスはUSB Type-A×4、HDMI×1、UART端子×1、電源用USB Type-C端子×1、SDメモリカードスロット×2を用意。SDメモリカードスロットはプッシュインプッシュアウト型で、FAT32でフォーマットされたSDHCメモリカードに対応。フロッピーディスクイメージはXDFと互換性のあるフォーマットを利用可能だ。
 UART端子はUniversal Asynchronous Receiver Transmitter端子の略で、調歩同期式シリアル通信の1つ。「X68000 Z」では、SDメモリカードからLinuxをブートさせてドライバーの追加、カーネル修正などの開発時のログ出力用、Linuxのコンソール操作用、Human68k動作時のシリアルポート用としての利用が想定、検討されている。
 本体のサイズ/重量は151×64×114mm/約600g、キーボードは466×40×197mm/約1,450g、マウスは73×40×118mm。「X68000 Z」自体はサイズは2分の1以下、重量は10分の1以下だが、マウス、キーボードはあくまでも操作性を重視して、実物相当のサイズで再現したわけだ。
同梱品は本体、キーボード、マウス、HDMIケーブル(2m)、USB Type-Cケーブル(1.5m)、専用SDメモリカード。同梱ゲームは「グラディウス」、「超連射68k ver1.10 (最新版) 」。ACアダプタとジョイスティックは同梱されておらず、5V 3A(15W)以上のACアダプタと、必要に応じてDirectInput方式のUSB接続ジョイスティックを用意しなければならない。
今回借用したのは「X68000 Z HACKER'S EDTION」。「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」の量産機とは外観や仕様が異なる可能性が高いが、現段階でも初代機を限りなく忠実に再現しているというのが率直な感想だ。
 模型として造形がよくできているというだけでなく、電源スイッチ、EJECTボタンから、本体上面のRESETスイッチ、INTERRUPTスイッチまでしっかりと機能している。ボリューム調節では音量を変更できなかったが、回転操作は楽しめる。
個人的に一番驚かされたのが、SDメモリカードスロットのEJECTスイッチと、各種インジケータの挙動。SDメモリカードを入れて電源スイッチを押すと、「POWER」と「EJECT」が緑色、「HIGH RESO.」とSDメモリカードスロット上部のインジケータが赤色に点灯。SDメモリカードへのアクセスが終了すると赤色から緑色に変わる。
 EJECTボタンを押すと、インジケータが無灯火となりSDメモリカードを抜けることを教えてくれる。「X68000 Z」は、これまで発売されてきた「ミニ」製品の中で、群を抜いた再現度だ。
一方、キーボードとマウスは現代風にアレンジされている。キーボードは現代の配列に寄せるために左右手前にCtrlキーを追加。またWindowsとX68000のキーレイアウトを底面スイッチで切り替え可能だ。
さらに凝った作りになっているのがマウス。今回は残念ながら借用できなかったので使い勝手は試せていないが、スクロールホイールを追加し、サイドボタンを2つに変更。また底面を光学式とすることで操作性を向上させつつ、トラックボールも残して、モードをスイッチで切り替え可能としている。普段使っているPCでも使いたくなるマウスだ。
今回「X68000 Z HACKER'S EDTION」を試用するにあたっては、システムディスク、「グラディウス」、「超連射68k ver1.10 (最新版) 」の3枚のSDメモリカードを一緒に借用した。システムディスクを入れると当然のことながら「Human68k」が起動した。懐かしのCUI環境だ。ルートディレクトリーを見てみると「X-BASIC」が収録されている。
 なお、システムディスク内にはGUI環境「SX-Window」は含まれていなかったので今回は試せなかった。クラウドファンディングの活動報告には「SX-Window」を表示させているサムネイル画像が存在するが、現時点ではまだ開発中なのかもしれない。
 さて、いよいよ本命の「グラディウス」のSDメモリカードを入れて電源を投入。「Human68k for X6800x0 version 3.02」の文字が出るまでの時間が約13秒、「グラディウス」が起動するまでの時間が約39秒。初代「X68000」の実機と比較したわけではないが、待たされ感はない。
 「グラディウス」の再現度については記憶の中にあるプレイ感と寸分の違いもない。部屋を暗くしてゲーム画面を表示させてみると、初代「X68000」で体験した「夢」が蘇ってきた。当時、多重スクロールで流れる星を見て、画面に吸い込まれるような錯覚を覚えたのだ。「グラディウス」のSDメモリカードを入れ、その冒頭をプレイするまでの動画を用意したので、当時を知る人も、初見の人もその感動を追体験いただければ幸いだ。
まだ確定していないがBLACK MODELの発売を楽しみに待ちたい
 すでに購入することができない「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」の発送前に、ごく一部の方にモニターとして配布された「X68000 Z HACKER'S EDTION」のレビューをお送りしたが、現在の筆者の率直な心情としては「なぜ出資しなかった!?」の一言に尽きる。なぜ4万9,500円という金額を実現できたのかと不思議になるほど完成度が高く、同梱品は充実している。
 「EARLY ACCESS KIT」ということで「X68000 Z」を瑞起とともに育て上げる心意気がある方々のための製品ではあるが、デバッカーとしてでも参加したかった。今後もなんらかの形で「X68000 Z」の動向を追いかけ、応援しつつ、まだ確定していないがBLACK MODELの発売を楽しみに待ちたいと思う。
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